マインド

ポートフォリオの組み方と勝つ投資家のメンタル

第6章 ポートフォリオの組み方と勝つ投資家のメンタル

■安い株を買う

投資する銘柄が決まった後は、 投資をするからには勝たなければ なりません。

そしてそのためにはできるだけ 安く株を買う必要があります。

相場はどこまでも続くものです。 そしていつも予期せぬことが 起こるものです。

思いついた投資アイデアが 正解だったとしても、 思いついた日が最良のエントリーの タイミングであるとは限りません。

後に述べるように、 長期で投資したり、 ポートフォリオを組んだりしている 場合は、 それほどエントリーのタイミングを 気にする必要はありませんが、 それでもやはりひとつの銘柄を できるだけ安く買うに越したことは ありません。

事実、腕の良いファンドマネージャーや プロのトレーダーは、 売買のタイミング効果だけで、 年間で 0.5%ほどのパフォーマンス への寄与があると言われています。

0.5%という数字は小さいと思う かもしれませんが、 分散投資をしている大型の ポートフォリオでこれだけの プラス寄与があれば、 個別銘柄だと数%の差が つくことを意味します。

では、エントリーに際して、 何を判断材料にしてタイミングを 図れば良いのか、 どういう手法で買っていけば 良いのか、 簡単にまとめてみました。

これらは実際、 私自身がポートフォリオを 構築していく際に用いている 方法です。

ご自身で投資する際の参考に してみてください。

■エントリーのポイント

1.ドルコスト平均法を用いる

短期の相場による価格の振れの 影響を極力小さくするための 買い方です。

A社の株を500株買うことに した場合、 100株ずつ一定の間隔に分けて 購入します。

たとえば、毎月、月初に100株を 買うと決めたら、 そのルールを崩さずに、 株価がどうあっても、 月初に機械的に5か月続けて 買い続けます。

積立定期預金のようなイメージです。

この方法のメリットは、 時間を分散させることによって、 取得期間の平均価格で株を 買えるところです。

株価は短期になればなるほど、 個別の評価ではなく、 市場そのものの変動の影響を 受けることになります。

個別銘柄の評価が上がることを 狙って投資をするのに、 市場の変動の影響で株価が 動いてしまっては意味がありません。
この市場変動の影響を小さくする のがドルコスト平均法です。

また、ドルコスト平均法は、 前述したように定量で買う場合と、 定額で買う場合とに分かれます。

ドルコスト平均法の効果を 最大限に上げるためには、 定量よりも定額で購入した方が、 より効果的です。

つまり、100株ずつ5回に分けて 投資するのではなく、 たとえば手持ちの投資資金が 100万円だったら、 20万円ずつ5回に分けて 投資していくのです。

そうすると、 株価が高い時には購入できる 株数が少なくなり、 逆に株価が安い時には、 より多くの株数が買えることに なります。

たとえば、 1株の株価が2000円だと、 20万円で購入できる株数は 100株ですが、 1株の株価が1000円だったら、 購入できる株数は200株になります。

これを繰り返していくと、 高値で買い付けた株数は 全体的に見て少なく、
逆に安値で買い付けた 株数が多くなるため、 平均の買付株価を下げることが できるのです。

2. テクニカル分析を使う

テクニカル分析とは、 株価を様々な形に加工して、 現在の株価の位置がどのあたりに あるのかを客観的に見ようと するものです。

特徴としては、 株価を企業の業績とはまったく 関係なく、 ひとつの数列として捉えて、 統計学的、人間行動学的な視点で、 ある種のパターン認識を行うという 点にあります。

「ダブルボトム」や「三尊天井」という 言葉を目にしたことがある方も いらっしゃると思いますが、 これらもチャートの形によって パターン認識する、 テクニカル分析のひとつです。

ここで注意して頂きたいのは、 テクニカル分析のみで勝ち続ける ことはできないということです。

もしもテクニカル指標が示す とおりに売買を行い、 株式投資で勝てるのであれば、 皆がそれを実行します。
皆が実行するということは、 それだけでは利益を出すことが できないことを意味します。

以下に私がいつも実際に見ている 3つの指標があげますが、 テクニカル指標はあくまでも 投資を決めた銘柄を、 少しでも有利な値段で売買 するための参考ツールです。

個人投資家の中には、 ファンダメンタルズを一切見ず、 テクニカル指標のみを 判断材料にしてトレードしている 人もいますが、 これだけを信じてトレードしても、 相場の神様は微笑んでくれません。

ファンダメンタルズとテクニカル 分析の両方を用いることが 肝心なのです。

・移動平均 株価はすぐにファンダメンタルズを 織り込まず、 時間をかけて徐々に織り込むため、 株価には一定のトレンドが生まれる という見方があります。

移動平均は、 このようなトレンド分析としては 最も汎用性の高い指標です。

一般的に過去の株価の50日、 100日、200日の平滑移動平均
値を取り、 実際の株価と重ね合わせて 見ます。

3本の移動平均線は、 株価の抵抗線や支持線として 働く傾向があり、 日数の長い平均線の方が、 より強い効力を持った線と 考えられています。

もしも買おうとしている銘柄が、 右肩上がりのチャートで、 これらの3本の線よりも上にあれば、 「株価の上昇トレンドが続いている」 と見ることができます。

逆に、右肩上がりが終わり、 株価は横ばいから下落へ転じ 始め、 50日線を下にブレイクし、 100日線まで下にブレイク してしまったら、 上昇トレンドは終了した可能性が あると考えます。

このようにして、株価が上昇・ 下落・横ばいのどのような勢いの 中にあるのかを客観的に見る ことで、タイミングを見計らいます。

・一目均衡表

一目均衡表は、 移動平均と同様にトレンドを
把握する指標ですが、 計測期間中の高値と安値を 使用するなど、 やや複雑な計算に基づいて、 様々なシグナルを読み取ろうと するものです。

「人間の行動は非合理的で、 理性よりも感情が先行する」 という前提で、 金融商品の動きを分析する 「行動ファイナンス」と呼ばれる 学問がありますが、 一目均衡表もこの部類に属します。

表の見方や扱い方は、 完璧にマスターしようとすると 非常に大変ですが、 基本中の基本は移動平均と 似ています。

最も大切な線である「基準線」、 「転換線」という2本の線に対して、 現在の株価が上にあれば、 株価には上昇トレンドの力があり、 下にあれば下落トレンドの力が 強いことを示しています。

移動平均と同様に、 これらの線は抵抗線や支持線と しての働きがあるため、 ブレイクした時はトレンド転換の 可能性があることを示唆しています。

・RSI RSIは相対力指数の略で、
株価が振り子のように上下に 振れるという前提のもと、 50を中心として0~100までの 指数に換算し、 株価が現在どの位置にあるかを 客観抵に見るものとして 使います。

この指数が30以下になると、 一般的に売られ過ぎ、 70 以上になると買われ過ぎの サインとして、 反転の可能性が高いと考えます。

いろいろな株でRSIを見てみれば わかるように、 確かにRSIが70以上になったり、 30以下になったりすると、 株価のピークが来て反転を しているように見えます。

しかし、このRSIはあくまでも 同じレベルのレンジの中で、 株価は振り子のように上下する という前提のもとでの指標ですので、 株価がレンジを超えて評価される ような場合にはまったく機能しなく なります。

くり返しになりますが、 企業の業績を考えずに、 株価を単なる数列として捉え、 テクニカル指標のみを見て売買 しても、 勝ち続けることはできません。

少しでも有利な価格でポジションを 持つために、 客観的に判断を下すツールの ひとつとして利用することを 心がけましょう。

■お勧めは長期投資

投資する銘柄を決めて、 実際にエントリーが完了したら、 後は成果が出るまで待つだけです。

投資をしている期間のことを 「投資ホライズン」と呼びますが、 適性な投資ホライズンとは どのようなものでしょうか?

デイトレーダーと呼ばれるような 人の場合には、 その日のうちに売ったり買ったりを 何度も繰り返す人もいますし、 アルゴリズム運用といって コンピューターによるプログラミング 売買によって、 1 秒間に何十回ものオーダーを 出したりするような投資家も います。

しかし、私はみなさんにこのような 短期のトレードを決して推奨は しません。

投資の世界は、 時間軸を短く取るほど投機の 世界に近くなり、 頻繁に売買するほど確率も 下がっていってしまいます。

金融取引で投機の代表格といえば FXですが、 世にあるFX口座の9割元本割れ している可能性が高いと思います。
通貨が短期で上がるか下がるかを 当てる確率は、 サイコロの丁半を当てるのと 同じように50%であると思いがち ですが、 為替手数料を支払うことを考えると、 勝率は50%より低くなります。

いろいろなテクニカル指標を駆使して、 高い勝率を誇る人がいるかも しれませんが、 サバイバーバイアスといって、 それはたまたま運が良く生き残った 人が語っているだけであり、 その裏で9割の人が負けていると 考えるのが妥当でしょう。

一方で、勝ち残っている人も 勝利が長く続くことはありません。

9連勝を誇る人がいたとしても、 次の1敗が大敗となり、 すべての勝利が台無しになる ようなことが起きます。

冷静に考えれば分かりきった ような投機の世界を、 身銭を切って体験する必要な ありません。

私がみなさんに推奨するのは 長期投資です。

「適正な投資ホライゾンは何か?」 という冒頭の問いは、 私にとっては「そのようなものはない」
が回答です。

私が推奨するのは、 あくまでも継続的に成長を続ける 会社への投資ですから、 そのような会社へ投資をしている 限りは、 売る時のことなど考える必要は ありません。

あなたが託したお金を効率良く使い、 より多くの利益を還元してくれる 会社の株主であるならば、 極端な話、一生売る必要は ないのです。

株価は毎日激しく変動します。

新しいポジティブな材料が出ると、 関連銘柄などが突然大商いとなり、 株価が暴騰することは日常茶飯事 です。

それらを見ていると 「自分もその流れに乗ったら 効率良く儲かるのではないか」 と思うのではないでしょうか。 しかし、決してそのようなことは ありません。

最初の何回かは上手くいくかも しれませんが、 所詮はギャンブルですので、 最後にあなたがババを引く番が 必ず回ってきます。

相場が突然、 顔色を変えて動くことはよく あります。

順調な右肩上がりの相場でも、 ちょっとしたことをキッカケに、 あるいは何のキッカケすらなく、 梯子を外されたように暴落 することもあります。

このような時、 自分の株式の評価額が どんどん下がっていくのを見て、 損失を食い止めるために 投げ売りしてしまいたくなるかも しれません。

でも、あなたが投資をしているのは 会社であるという本質を 忘れてはいけません。

会社が順調に利益を上げて いる限り、 相場の変調によって暴落した 株価は必ず元に戻ります。

投資判断を下すのはとても 労力の要ることです。

株の最小単位を買うにしても、 何十万円もお金がかかる 買い物をするわけです。

電子レンジを買う時でも、 その製品の機能やデザインと 値段のバランスを相応の時間を
かけて検討すると思います。

株式はそれよりも、 もっと大きな金額の買い物に なるのですから、 しっかりと納得のいくまで考え なくてはなりません。

株価は短期的に相場の影響を 受けて乱高下しますが、 中長期的に見れば、 毎年利益を拡大させている 会社の株価は必ず上がります。

私は綺麗ごとでこのようなことを いっているのではありません。

本当に株式投資で勝つ時と いうのは、 何年もかけて株価が何倍にも なっているような時です。

売買をするごとに証券会社に 手数料を支払い、 短期的に予測のできない 相場の乱高下に付き合って ヤキモキしていても、 良いことはありません。

そのようなことをするくらいなら、 優秀な会社に長期的な投資をして、 配当をもらいながらゆったりとした 気持ちで、 その会社の利益が成長していく 様を眺めていた方が、 遥かに効率的です。

世界一の大金持ちである 投資家のウォーレン・バフェットも、 当然ながら長期の投資家です。

彼は徹底した調査を重ねた後に 投資先を決定し、 基本的に会社の戦略や見方に 変更がない限り、売却しません。

相場の変調によって株価が不当に 安くなったと思った時は、 むしろ追加で買い増しをします。

長期投資家にとって相場の調査は、 むしろ「安いショッピングができて ラッキー」と喜ぶくらいのマインドが 理想です。

勝てる投資家が最も労力を費やす のは、 投資をするかしないかの意思 決定をするまでの過程に あります。

一見地味で地道な作業を しっかりやっているカメのような 投資家が、 トレーディングに集中している 瞬発力のあるウサギを大きく 凌駕するパフォーマンスを 上げます。

これは投資の世界の揺るぎない 事実です。

■ポートフォリオの基本

複数の銘柄や資産に投資して ポートフォリオを組むと、 分散効果というメリットを享受 できます。

たとえばA社の株のリスクが 20%だとしましょう。

リスクとは価格の振れ幅の ことですから、 株価は上下に20%の幅で 変動する確率が高いことを 示しています。

この銘柄だけを保有していた 場合、リスクは20%になります。

今度はA社株とB社株を 均等額ずつ持っていたとしましょう。

B社株のリスクは15%です。

この場合の全体のリスクは、 (20%+15%)/2=17.5%

といいたいところですが、 そうではありません。

実はリスクは確率変数ですので、 A社株とB社株の相関係数が 必要となります。

もしA社株が上昇した時、 B社株がこれまで70%の確率で
上昇してきたとすると、 相関係数は0.7になります。

これを計算すると以下のように なります。

ポイントは式の最後に相関係数 である0.7がつくことです。

もしA社株とB社株の動きの 方向性がまったく一緒であった場合、 相関係数は1になり、 答えは単純平均した値と同じ 17.5%となります。

しかし上記のように、 相関係数が0.7で1よりも小さい場合、 2つの株式を持つポートフォリオの リスクは16.2%というように 低くなるのです。

これが分散効果です。 相関係数は最大値が1、 最小値がマイナス1を取ります。

1の時のことを「完全相関」と呼び、 2つの株価の動きが完全に一緒で あることを意味します。

これでは分散投資効果が期待できず、 結果的にリスクは小さくなりませんが、 確率的に滅多に起こるものでは ありません。

一方で、たとえば高成長の インターネット企業の株式が
大きく下がる局面で、 より利益が底堅く推移する 電力会社の株式は、 むしろ上昇することがあるかも しれません。

このような場合は、 お互いの株価が逆方向に動く 性質があるということで、 相関係数はマイナスの値を取り、 ポートフォリオのリスクは大きく 下がります。

さて、ここまで述べたことは、 実は一般的なポートフォリオ 理論の教科書に載っていることです。

プロの投資家は実際にこのような 複雑な数学理論を駆使して、 分散効果を享受したり、 全体のリスク調整を行ったり、 予期せぬリスクを取っていないかを 日々チェックしています。

大きなお金を運用しているので、 お客様の資産を守るためにも、 ある程度は必要なことだと 思います。

■リターンを大きくするポートフォリオづくり

しかし、私は本音を言うと、 あまり前項のようなリスク管理を 重要視していません。

なぜなら、リスクとリターンは完全に 表裏一体なので、 リスクを小さくすると、 ポートフォリオ全体のリターンも 相応に小さくなってしまうからです。

しかしながら、 いかに自信があるとはいえ、 投資先を数銘柄に絞ってしまうと、 今度は分散効果が低下してしまい、 リスクが大きくなりすぎてしまいます。

最適なポートフォリオとは、 リスクをできるだけ小さくして、 リターンをできるだけ大きくすること ですが、 結局はポートフォリオに 組み入れるひとつひとつの銘柄の 認識ギャップの大きさで勝敗が 決まります。

分散効果を意識しすぎて、 相関係数の小さな銘柄を 入れることにこだわると、 本末転倒となってしまいます。

これはプロがよく陥るミスです。

私がファンドマネージャーとして、 ポートフォリオを構築する時に
一番意識していることは、 このような数学的な分散ではなく、 「価値観の分散」です。

前述のように、 私が会社の投資する時は、 社長の能力や組織力のような ソフト面を重視します。

優秀な経営者のつくる組織には、 フェアで、オープンで、 社長が夢を見られるような 企業文化が根付いているものですが、 もっと細かく見ていくと、 何を最も重要視しているかという 価値観の部分には、 会社によって様々な違いがあります。

このような価値観の議論には、 「これが正解」というものがありません。

それは、人の性格がそれぞれ違って いて当たり前ということと同じレベルの、 深いところにあるものなので、 体系化は不可能です。

営業系の会社だと、 継続的に利益を成長させるために 最も重要なことは「社員の成長」 という価値観を持っていたりしますし、 一方で、健康飲料を製造販売する 会社では、 創業者の開発した製品と精神を 受け継ぐことを組織の使命と しているところもあります。

私は投資先として相応しいと 考える銘柄群の中でも、 このような会社の根底に 流れている価値観の分散を 意識して、 ポートフォリオを構築しています。

仮に相場に調整局面が来た時でも、 お互いのキャラクターが異なることに よって、 自然と業績も様々な変化を示すため、 ポートフォリオは分散効果を発揮して 下がりにくくなります。

そして好景気の上昇相場では、 いずれも優秀な会社になるので、 予想以上の成長を示して、 期待を超えた成果を上げてくれる ことが多くなります。

勝てない多くのプロのファンド マネージャーは、 「セクターニュートラル」といって、 TOPIXなどのベンチマークと 同じ業種ウエイトになるように、 ポートフォリオを組成することが よくあります。

下げ相場が来た場合、 セクターのウエイトが相場全体と 同じであれば、 自分のポートフォリオも同じように 下がるだけで済むという、 極めて後ろ向き運用手法といえます。

以上のように、
分散効果のメリットとデメリットを 考えつつ、 バランスのよいポートフォリオの作成を 心がけましょう。

意図的に分散効果を得る必要はなく、 あくまでも自分で自信のある銘柄への 長期投資を意識しつつ、 キャラクターの異なる多様性を持った ポートフォリオが構築できると、 安心して見ていられるようになるはずです。

伸びる会社でも、 短期的には思うようにいかないことも あるものです。

しかし、そのような時でも、 ポートフォリオの他の銘柄が、 その凹みを挽回するような パフォーマンスを見せてくれるはずです。

勝てる投資家は、 賢く分散効果を享受しながら、 安定的な航海を続ける術を 知っています。

■自分に合ったポートフォリオを組む

ポートフォリオを組むメリットは、 複数の銘柄を持つことで、 リスクを自分のライフステージに 合ったものへと調整できることに あります。

20代で資産の少ない若者は、 失うものが少ない分、 リスクを大きく取って高いリターンを 狙えるでしょうし、 一方で、現役を引退して主たる 収入がなく、 貯蓄をゆっくり食いつぶしていく 世代は、 リスクの許容度が小さく、 ローリスク・ローリターンの安定性を 求める人が多いと思います。

これまでは株式を中心に述べて 来ましたが、 実際に最適なポートフォリオを構築 しようとした時には、 外国株式や他の債券、不動産、 先物などの資産への投資を 考えた方が、良いものができます。

なぜなら、その方が日本株のみに 投資した場合よりも大きな分散効果が 得られますし、 「価値観の分散」という私が重視する 分散も、 異文化にある資産クラスの方が 必然的に高くなる傾向があります。

そして何よりも大切なのは、 海外には優秀な会社がたくさん あるということです。

自国の株式市場に大きくウエイトを 取ってしまうことを「自国バイアス」と 呼びますが、 どの国でもこのような傾向が観察 されています。

スペイン人はスペイン市場に、 オーストラリア人はオーストラリア 市場に、 米国人は米国市場に、 といったように、多くの投資家が 自国の上場企業を中心に投資を してしまいます。

もちろん、投資というのは身近な ことから投資アイデアを得ることが 多いですし、 投資をすることは自国の会社を 応援することにもなりますので、 悪いことではありません。

しかし世界には、 特に米国企業の中には、 圧倒的に優秀な経営陣によって 経済的に高い成長を遂げている エクセレントカンパニーが多くあり、 日本の上場企業では決して到達 できない高みに登りつめるような 会社が出現する確率が非常に 高くなっています。

金融市場に国境はありませんので、
自分の資産が大きくなるにつれて、 リスク&リターンの観点から、 より魅力的なものを世界中から 集めるような視点を持つことも 大切です。

「海外の企業を買うと、 為替のリスクも伴うので余計に リスクが増すのではないか?」 と思われる方もいるかもしれませんが、 逆にいうと、 円建ててすべての資産を持っている ということは、 日本政府の政策にフルベットしている ことを意味します。

過去数十年を振り返っても、 日本円で日本の資産のみに 投資していた人と、 資産の一部をドル建てで 米国株へ投資している人を比べてば、 投資成果は雲泥の差となりました。

グローバル化した金融の世界で、 日本人であるからといって 円建てですべての資産を持つこと の方が、リスクは高いといえます。

今後、日本が中長期的に欧米中よりも 高い経済成長を示す可能性は どれくらいあるでしょうか?

その考えに基づいて、 あなたの資産の理想の配分を イメージしてみてください。

株だけに投資をすると、 世界的な不景気が到来した時には 大きく時価が目減りしてしまいます。

そのリスクを避けたいと思うなら、 株との相関係数が小さい国債 などにも投資しておけば、 さらにリスクを小さくすることも 可能です。

一方で、為替や国債、資産は、 マクロ経済を映す鏡のようなもので あり、 認識ギャップは存在しません。

「この国は他の国よりも強く なっていきそうだな」という 相対感をもとに、 勝ち組のレールに乗り、 リスク分散の効果を得ることが 目的と考えると、 すっきり理解できるはずです。

世界中の資産への分散投資を 行っている大手の運用期間の パフォーマンスを分析した結果、 パフォーマンスの9割以上は、 どの国に、どの資産に、 どれくらい投資をしたのかという、 資産配分の効果(アロケーション 効果)だけで決まっていることが 証明されています。

みなさんの場合は、 自分の将来の出費や理想の 資産形成に合わせてリスクと
リターンを調整するのが目標 なので、 無理に世界中の金融資産に 分散投資をする必要はありません。

しかし、日本株のみから得る果実は、 世界の金融市場から見ると、 非常に小さなものでしかないと いうことは頭の片隅に置いて おきましょう。

現代世代には資産運用が大切です。

得に若年層になるほど、 日本の給与水準では、 毎月コツコツ貯金をしていったと しても、 リタイア後の資産が困窮することに なってしまいます。

資産運用は生活を豊かにする オプションというよりは、 生活防衛のための必須のスキルと いえるでしょう。

給与が上がらない要因は、 日本経済が低迷していることと 密接に関係があるのですから、 日本株のみに投資をするというのは、 効率の良くない勝負をしていることと 同意です。

以上のことを踏まえて、 自分に合ったポートフォリオを構築 していきましょう。

最初から完璧を目指すのではなく、 トライ&エラーを繰り返しながら、 ゆっくり投資判断をしていくことを お勧めします。

最初は誰もが1年生ですが、 失敗を繰り返しながらも諦めずに 学び続けると、 やがて自分のポートフォリオと 投資哲学が一致し始めてきている という感覚を得るようになります。

それこそが、あなたが大投資家への 道を歩み始めたというサインと いえるでしょう。

■勝てる投資家のマインドセット

勝てる投資家と勝てない投資家の 差の大きな部分は、 投資に対するマインドセットに あります。

私がみなさんに最も伝えたいことは、 投資には「信念」と「忍耐」が 絶対的に必要であるということです。

スキルや経験は、 これらに比べれば大して重要では ありません。

投資心理による陥りがちな間違いは、 恋愛に置き換えてみるとわかりやすい かもしれません。

勝てない投資家は、 総じて「面食い」です。 会社の業績(ファンダメンタルズ)を 見ずに、 株価の動きのみを見て行動を しています。

マネーゲームで暴騰しているような 仕手株がまさにそれですが、 このような見掛け倒しの美人に 飛びついても、 最終的にはお金を貢ぐ一方で、 やがて市場から退場を余儀なく されてしまいます。

「妄想片思い」でもあります。

相手の嘘を見抜けず、 相思相愛であると妄想して、 自分にとってよいシナリオしか 見えなくなっています。

その後、突然フラれてしまっても、 なかなかそのことを認められず、 引くべき時に逆に突っ込み、 傷を深くしていってしまいます。

最終的にフラれたことを認めざるを 得なくなると、 今度は恋心が一転して怒りに変わり、 投げ売りを行います。

この時、株価は大底を迎えます。

よく、相場にはブルとベアの2匹の 動物がいるといわれています。

強気派のブルが角で相場を押し上げ、 弱気派のベアが鋭い爪で 相場をなぎ倒しています。

しかし、実はもう一匹の動物がいます。

それがカモです。

勝てない投資家は、 ブルとベアが激しくぶつかり合う中で 右往左往する、 可ものような存在になってしまって いるのです。

勝てる投資家は、 カモとは逆の発想で市場と対峙しています。

会社の内面をよく見て、 幅広い視野で、 合理的な判断をします。

注意するのは市場の噂や 他人の意見ではなく、 自分の投資哲学がぶれていないか どうかにあります。

相場が早く動いている時ほど、 視点を大きく構え、 ゆったり考えて行動し、 相場がゆっくり動いている時ほど、 素早く考えて行動します。

相場とは、 一寸先は闇であり、 プチショックであれば毎月のように 起きるものです。

勝てない投資家の多くが、 このような相場の波にもまれて 感情的になってしまい、 合理的な判断ができなくなっています。

勝てる投資家は、 最終的に株価が、 会社が稼ぐ将来のキャッシュフローの 現在価値に収斂していくことを 知っています。

時間を味方につけ、 会社の価値が上昇するのを 待ちます。
メディアやネットで飛び交う情報の 大部分は、目先のことばかりです。

「米国の雇用統計が市場予想を 下回るかもしれない」、 「中国のPMIが悪化するリスクが ある」など、 大勢には影響のないようなことでも、 大げさに取り上げてリスクを煽ります。

しかし、このような声は雑音に 過ぎません。

我々は時間というレールの最先端に いるため、 その先を想像することには大変な 労力を伴います。

気づくと、来月や来週、 極端には明日のことばかりを 考えてしまいますが、 投資に絶対的に必要なものは 「信念」と「忍耐」であることを 思い出して下さい。

足下は暗闇でも、 未来になるほど、 あなたの信念という名の薄明りが 灯っていることを意識してください。

あなたが投資を決めた会社の業績の 予想にブレがない限り、 動く必要はありません。

株は英語で stock といいます。

他にも「たくわえ」や「在庫」の意味が あります。

前述のウォーレン・バフェットは 「納得できる価格で買えた株は 売る時のことなど考えなくてもよい」 と言いますが、 そのようなストックをいかにたくさん 積み上げるかが、 資産運用で成功する人と失敗 する人の差です。

相場の神様は時に意地悪をして、 あなたの忍耐を試すようなことを してきます。

そのような時は、 本書で述べたことを何度も 読み返し基本に立ち返って下さい。

荒波が続く相場の中で、 最終的に福音を得るのは 「本物の投資家」だけなのです。

■お金の価値と人生の価値

「なぜお金持ちになりたいのか?」 と聞かれて、 あなたは即答できますか?

仕事を辞め、豪邸に住み、 綺麗な格好をして、 美味しいものを食べて。

しかし、「その先の目的」を 考えたことはあるでしょうか?

マレーシアの貧しい家庭で育ち、 ウォール街で活躍していた敏腕 ファンドマネージャーMとの出会いで 私も考えるようになったことです。

Mは、子どものころ、 病気に苦しむ母親の治療費を稼ぐ ために、 近隣の住人たちに「何でも屋」を 申し出てお金を稼いでいました。

貧しい村であったため、 隣人も決して裕福では ありませんでしたが、 多くの人は善意で彼に仕事を与え、 時には食べ物や薬を恵んで くれました。

Mはその後、 猛勉強をして米国のアイビーリーグで MBAを取得し、 ウォール街の投資家として 優れた成績を収めるように
なりました。

しかし、若くして大金持ちとなった 彼は、ある日突然引退し、 全財産をマレーシアで自身が 設立した基金へ拠出してしまい ました。

彼が設立した基金は、 小さな子供のいる貧しい家庭に 対して、 医療費や学費を支援するもので あり、条件として、 その子供が将来お金持ちになった 場合、 再び同基金にお金を拠出して もらう設計となっています。

また、基金の特別条項には、 子どもの頃のMに施しを 与えてくれた村人の名前が 記載されており、 彼らが病気になった際には、 すべての医療費を支払うことも 明記されています。

彼は村人たちの一杯の飯の恩を 忘れずに大人になり、 それに報いることを人生の目的の ひとつとしたのです。 人生は誰にとっても一度きりであり、 二度目はありません。

ほとんどの大人は人生の 7 回裏 あたりから、 そのことに気づきます。
Mにとっての人生における最良の 時間と空間は、 貧しくとも家族や隣人の愛に 包まれた、何気ない日常でした。

どんなに富と名声を得ても、 遥か先にあると思われた山の 頂きに立ってみても、 それ以上のお宝は、 この世界にはないことをMは 悟ったのです。

彼は絶頂のうちにウォール街を去り、 今は故郷でファンドマネージャーと して基金から給料をもらい、 一方で医大生として勉強に励む 毎日を送っています。

ある日のこと、 カフェでMと話をしていた時、 私が自分の失敗から得た投資家と しての暗黙知のようなものを 話し始めると、 Mはカバンから使い古した 分厚いノートを取り出してメモを 取り始めました。

Mは実力や実績は組織の中で トップクラスの投資家でしたが、 どんな人からも謙虚に学び、 自分の頭で納得がいくまで 考え抜く姿勢を持っていました。

びっしりと文字の詰まった亡き母 からのプレゼントだというノートを 見て、
「まるでバイブルだね」と私が言うと、 Mは愛おしそうに表紙を手で 撫でながら 「いいえ、それ以上です」と 答えたのを、 今でも鮮明に憶えています。

冒頭の「なぜ、お金持ちになりたい のか?」という問いの答えは、 最終的には 「素晴らしい人生を歩みたいから」 に行き着くと思います。 ただし、「お金」と「素晴らしい人生」 は必ずしも同じレールの上にある とは限りません。

お金を持っていても、 不幸な人が世界にはたくさんいます。

なぜか?

多くの人はその先にある価値を 知らないからです。

Mは投資で得た莫大なお金を、 大切な人を幸せにすることに 再投資をし、 新たな富を得ているのです。

基金によって救われた人々の 笑顔を見る度に、 Mは己の人生の価値を向上 させているのです。

本物の投資家の究極の到達点は、 お金の価値だけではなく、
人生の価値を知るものであると 私は信じています。

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